ミルコ日記

趣味や日々の思いを綴ります。

ウッドショックって知ってましたか?

《連休明けのショック報道》

今日、兼ねてよりお願いしていた工務店に見積もりを貰いに行って来た。そのこと自体は別段書き残すことも無いことなのだが、5月の連休前に建物図面の確認をしており、概算次第で着工時期を決めるつもりだったが、結局見積もりが作れない状態にある事が判ったのだ。そしてその事情がちょっと複雑なので、書き残そうと思った。

今回は現在の家の別棟の設計なので、予算的には絞る旨を伝えての見積なので、大体の坪単価70万円前後からどれだけ下げらるかを期待しての話をしたかったが、話始めてすぐ、「ウッドショック」ってご存じですかと聞かれて、何のことか判らず、説明を求めたが、発端は今年の始め位からの話らしいが、連休明けに報道されるに至り一気に、業界内ではパニック状態になったらしい。

話の経緯は、「木材が供給不足に陥り、価格が高騰する“ウッドショック”に住宅業界が震撼(しんかん)している。」と言うショッキングな情報が同業者からの問い合わせで知り、この状況は2021年3月ごろから顕在化して来たとのことで、以降悪化の一途で、日刊木材新聞社の調査では、「ベイマツ乾燥材正角の4月の販売店価格は7万8000円/m3で、半年間で44%も上昇した。住宅会社から『木材が現場に届かず、4月末の着工を延期した』『工事請負契約を済ませた住宅7棟分の製材費の損失が、350万円に達した』といった悲鳴が聞こえてくる。」とのことだった。早速仕入れ元の材木屋に確認したところ、確かに兆候は出ていたが、この報道で大手ハウジングメーカーが国内の在庫を抑え始め、急に仕入れの見通しが立たない状態となり、価格も1.6倍程度にまで跳ね上がったとのことなのだ。

今の家を建てて9年前2012年頃はアメリカでのリーマンショック直前の住宅需要で高騰した時期から、若干下落傾向を辿っていた頃だったが、安値傾向は最近まで続いたという事である。

話ではウッドショックは複数の要因で一気に生じており、8月以降の木材確保の目途が立たない事と、一般木造住宅では、価格の高騰を他の材料などで調整することは厳しく、価格に転嫁することになるが、かなりの金額に跳ね上がるので、商談にならないとのことだった。

要因は複雑に絡み合っているが整理すると

コロナ禍で北米の新築住宅需要や増改築需要が高まったことを契機に発生した

中国の経済回復などに伴う木材需要増

世界的なコンテナ不足に加え、21年3月に発生したスエズ運河での大型コンテナ船の座礁事故によるサプライチェーン混乱が重なり、日本向けの北米材と欧州材が原材料(原木やラミナ)ともに供給不足の状態に陥った

供給不足木材は梁に用いる集成材と製材でもともと輸入材の占める割合が高く、国産材の生産量が限られている部材だ。構造計算にも関係する部材なので、設計上も代替が容易ではない。プレカット会社からは「いつ現場に納品できるか分からない。1~2カ月先になるかもしれない」との悲観的声もあるとのこと、報道では林野庁は4月14日、「国産材の安定供給体制の構築に向けた需給情報連絡協議会」を臨時で開催。①の要因に関して、日本木材輸入協会が、「米国の住宅ローンは3%前後と史上まれに見る低金利で住宅市場は好況なので、今年いっぱいは輸入材の供給不足が続く可能性がある」との見解を示したとのこと。集成材大手の銘建工業では「21年7月~8月に、20年末比で50%増になりそうだ」との事で、つまり1.5倍と言う事だ。まさに震撼する価格高騰だ。

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《今後どうなる》

工務店と話していると、先の話も心配ではあるが、現在着工待ち案件をどうするかの解決に頭を痛めているとのことである。

着工待ちと言う事は、契約も済んで、内金も収めている状態だから、契約書にどういった不測の事態に関する但し書きがあるか気になるが、基本は契約金額で着手しなければならないが、材木屋に既に発注していれば、価格のリスクは材木屋が受けざるを得ない。(発注書を出していない場合でも、見積をしているはずなので、見積有効期限が切れていれば、高い金額で再見積は可能である。但し、工務店との契約なので、お客の契約とは別)

仮に全くの不測の事態を客も理解し、価格の折り合いが付いたとしても、実際の木材の供給が確保出来ないとなると、着工が出来ないので、工期の遅れは想定しなければならない。その場合、住宅ローンを組んでいたとした場合、ローン開始時期の延期の必要が生じ。手付は延期であれば、返還されることは無いと言う。事前に判っていたことでは無いため、柔軟な対応になろう。しかし可哀そうなのは、これから最終見積を取って着工しようとする方の場合だ。図面・見積・資金計画確定して契約も済んでいざ着工と進むが、その段階では早ければ8か月遅くても10か月後には入居するだろうから、現在住んでいるところが借家であれば、6か月前には通知をしなければならない。子供が学校に通っていれば、転校なども準備しなければならないだろう。それが決められないのだ。しかも入荷の目途が立たないと言うだから、しばらく様子を見るにしても、両者協議のうえ解約を覚悟しなければならないだろう。

一般的に一生の内にそうそう家を買う事は無いのだから、とんだとばっちりである。

まあ、番狂わせではあるが、悪いこととは限らないので、気を取り直して仕切り直しと言う事であろう。

自分の経験で言えば、30代早々で中古の家を買ったが、転勤が決まりその家には10か月ほどしか住めず、8年位賃貸に出すことになった。転勤先の関東で8年住んだが、家賃補助が年々減っていき、平塚で中古の家を買う事にした。しかし、なんと転職して九州に戻ることになり、そこも3年弱で売る事になった。また同様な事になるのにはコリゴリだったから、戻った福岡で10年以上賃貸住宅に住んだ。しかしもう流石に良いだろと、工務店やモデルハウスを研究してを1年半ほど掛けて今の家を、この工務店で建てたのである。

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今回の資材の高騰は先に挙げた原因で長期にわたると思われる要因がいずれも希薄であることを考えると、来年にはある程度収まると思う。しかし、リーマンショックによる資材の下落で、材木業者は相当体力を消耗しているとのことで、これを機会に、一気に戻さず、ある程度の価格の維持を図るのではないかとも予想される。

コロナ禍でリモート活用による働き方の見直しは、企業のコスト軽減、社員の福利厚生向上にうまく折り合いをつけて、職場の地方回帰も今後トレンドになる兆しがあるのも新築需要や、リフォーム需要に繋がる様な気がする。よって、ある程度資材価格の高止まりになりそうだ

折角の増築計画だったが、当面見積すら作れそうにない。3年位は進まないかもしれないが、まあ市場を注視しながら、様子見をするしかない。